誰もが知ってる「グリコ」の看板は、ジェントルな姿勢が伝わってくる

2019年4月7日

【Main Point】

看板に見るグリコのジェントルな姿勢とは
1.企業理念の「おいしさと健康」が伝わっててくること
・「一粒300m」のキャッチコピーとゴールインマーク
・子どもにとって食べることと遊ぶことが二大天職という考え

2.楽しませ、わくわくさせてくれること

3.看板が大阪市指定景観形成物に指定されてること

 

グリコの看板の歴史

大阪道頓堀の戎橋にあるグリコの看板は2015年にリニューアルされ
6代目になりました。
撮影スポットにもなっている看板の歴史を辿ると、ジェントルな姿勢が
垣間見えてきます。

 

初代は1935年(昭和10年)今から84年前につくられました。
この時代に、高さが33m。ランナーやロゴが6色に変化し、毎分19
ネオンが点滅するなんて、すごい技術です。

初代からランナーは存在していたのですね。
それを見た子供たちは、推定90歳以上。当時の感想を聞いてみたいものです。

このランナーにはモデルがいるとされています。
でも特定の人物ではなく当時活躍していた選手らを参考にしてデザインされ、
その中の1人に、2019NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」で、
中村勘九郎さん演じる金栗四三氏も含まれているんですって。

因みに33mの高さは、8階建に匹敵します。
(北海道は20m以上の看板はたてられません)

残念なことに、1943年鉄材供出のため8年で解体されました。
子供たちへの夢の贈り物が武器になるとは、やるせない気持ちだったことでしょう。

 

2代目1955
高さ22mの縦長のアーチ状のデザインで、下部に設けられた舞台では人形劇や
ロカビリー大会などが催されました。

1955年(昭和30年)頃といえば、団塊の世代が子どもの頃です。
決して豊ではなかったこの時代の子どもたちに、甘いキャラメルを
食べる「喜び」と、ステージを見る「楽しさ」。
そして、光輝く巨大な看板は、子ども達に希望を与えたことでしょう。

「一粒300m」のキャッチコピーは、ここから登場しました。

 

3代目1963
高さ18m×8mに、
12トンの水を使った噴水式です。
中央の150本のノズルから噴き出す水を12400基のライトが照らし、
虹を描くという夢のようなデザインです。
こんな大がかりな仕掛け、つくる人も大変だったと思います。
実物が見たかった!

 

4代目1972
陸上競技場を走るランナーがデザインされました。(ゴールインマーク)
現在の原型です。

 

5代目1998
「一粒300m」から、「おいしさと健康」に、キャッチコピーが変わりました。
「おいしさと健康」は、企業理念です。

 

6代目2015
今の看板に変わりました。
5代目まで全体に使われていたネオン管は、既に入手困難なことや、環境への考慮から
LEDに変わることでサイン全体が大型ビジョンの様に、表現が自由になりました。

初年度の経済効果は大阪府で1284900万円、
大阪府を含む日本全国では2911300万円と試算されています。

 

 

グリコの看板は子ども達だけでなく
大人も楽しい気持ちにさせてくれます。

 


ゴールインマークはスポーツ大会とタイアップしてユニフォームに着替え、
大会を盛り上げています。
 

 

また、くいだおれ太郎に着替えたり、6代目がお目見えする間、綾瀬はるかさんが
ゴールインマークになったりと、状況の変化に柔軟に対応しています。

 

時には、CO2削減キャンペーンに協力して、看板を消灯させたり、
東日本大震災の翌日から24時間点灯を中止し、再開した44日には
「みんなに笑顔を届けたい」と、同社からのメッセージを垂れ幕にしました。

 

 

そんなグリコのジェントルな姿勢は、
世代を超えて人々に愛されています。

人々を楽しませわくわくさせる、
身近な問題に真摯に応じる
どれも、大切なことですね。

 

 

「景観」とは
風景や景色のことですが、
「景観を悪くしているものに何があるか?」の問いに、
最も多い答えは「看板」です。

その理由は、
・大きい
・色使いが派手
何年たっても変わらないいつもの回答です。

 

一方、
グリコの看板は大阪市の指定景観形成物に指定されています。

グリコの看板、決して
・小さくない です。
高さ20m、幅10.85mあります。

・色使い 地味ではありません。
画面は.LED液晶モニター。フルカラー。しかも画像動きます。

何故、グリコの看板は、景観を悪くしていると、
言われないのでしょうか。

 

まとめ
看板をつけるならジェントルにしよう。

グリコに見る「ジェントルさ」とは
1.利用する人へ  役にたちたい思いがある
2.理解しやすい  キャッチコピーやマーク がある
3.対象となる  世代や性別を明確にしている
4.利用した人に  どうなってほしい明確である
5.情報を  一方的に押し付けない  
6.景観を悪くする=看板を見る人に
 不快感を与えない

あなたへのメッセージです
状況の変化に対応するしなやかさが大切です。

 

看板はお店の名前が書かれていて、
色がついていれば、それで機能は果たせますが
果たしてそれでいいのでしょうか。

それで良い、のも正しい答えです。

でも、同じ看板を作るなら
社会に貢献できて
利用する人に喜ばれ
思いが伝わるものを作りたいものです。

そのような看板が並ぶと
訪れる人も増えて、街は活性化します。
活性化すると
資産価値も上昇します。

自分一人の問題ではない、と
思うジェントルなハートを持つ人が
一人でも多くなってくれることを願っています。

 

グリコのおまけ?
ゴールインマークになったアスリート並べてみました。
向かって左が4代目、中央が5代目、右側が6代目。
当時のスポーツ代表選手です。

4代目は、スレンダーですね。余分な脂肪は敵!って感じ。
グリコの文字と文字も空いているので、ちょっと胴長かな。

6代目のランナーは、全体に筋肉のついたアスリート体型ですね。
表場に余裕があります。中間の5代目は6代目寄りですが、4代目からは
かなり変化して見えます。
基本は変わっていませんが、時代に合わせて微妙に変化させています。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
今日もしあわせな一日でありますように。

 

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